ドラムのトリガーについて・前半(基礎知識編)
前半ではトリガーについての基礎知識を書きましたが、後半では実践的なことに触れていきます。
TRIGGER2とCubase Pro 8の両方で解説を。
Cubaseはバージョン6あたりからからヒットポイントを検出する機能が付いているはずですが、バージョン8とは表示や操作方法が異なるかもしれません。
システム毎に使い方は異なりますが、どれも同じような概念だと思うのでご参考までに。
■TRIGGER2
トリガーしたいトラックにTRIGGER2をインサート。
起動画面が表示されたら左側にある「Browser」をクリックし、サンプル名を画面下にある任意のパッドのような空白部分にドラッグ。
サンプル音をチェックしたい場合は「Audition」をONにしてからクリックするとサンプル音が鳴ります。
次に、画面左側で「Browser」から「Triggering」に切り替えてサンプル音の詳細を設定。
ここでもミュートがかかっていないトラックのパッドをクリックすると音が鳴ります。
プラグインへの入力レベルを感知するため、元音のインプットレベルで画面の波形が適切な大きさになるまで上げる必要があります。
波形が小さすぎると検出の精度も下がるので、インプットを上げすぎず、波形がなるべく大きくなるように設定するという感覚。
インプットレベルが調整できたら、DETAILのパラメーターで閾値を適切に設定。
画面の横線2本の位置が縦に変化し、ヒットポイントが検出された部分は縦線が入る&アタックポイントがオレンジ色になるので視覚的にもわかりやすいです。
SENSITIVITYというパラメーターは検出精度を調整する値で、50ぐらいが基本、90以上だとゴーストノートの検出も可能とマニュアルには書いてありますが、正確にニュアンスまでコピーするのはかなり難しいですね…。
「View Curves」の細かいパラメーターをいじると、さらに細かい条件でトリガーすることができます。
アウトプットセクションで元音とサンプル音のバランスと最終的なアウトプットレベルが決められ、その後は次のプラグインスロット…という流れで音が出ます。
TRIGGER2の後に直接プラグインをかけるのもよし、一度オーディオデータとして書き出して別トラックとして扱うのもよし。
ちなみに、MIDI CAPTUREモードでMIDIデータの検出が可能です。
ホストアプリケーションを再生し、検出が終わったら「DRAG ON TRACK」ボタンをホストアプリケーションの新規MIDIトラックにドラッグするとデータが読み込まれるみたいです。
次で説明しますが、僕はCubaseユーザーなのでこの機能は使わないでしょうw
■Cubase
トリガーしたい音の波形をダブルクリックし、サンプルエディター画面(波形が拡大されて出てくる)を表示。
同画面の左側に「ヒットポイント」という部分があるのでクリックし、ヒットポイントの編集機能をオンに設定。
スレッショルドレベルを下げていくと、波形内に縦線がヒットポイントとして現れます。
Cubaseは再生せずにヒットポイントがわかるので大変便利なんですよ。
ざっと波形をチェックして、検出漏れがある場合は手動でポイントを個別追加し(公式サイトの説明)、検出ポイントがOKであれば「MIDIノートを作成」をクリック。
「ダイナミックベロシティー」で書き出すとオーディオの強弱がMIDIにも反映され、「設定したベロシティーに変更」で書き出すと任意の条件で書き出せます。
CubaseもTRIGGER2と同じで、検出精度を上げるためにトリガーするオーディオトラックのレベルを適正に設定する必要があるのですが、コピートラックを作ってノーマライズし、そのデータからヒットポイントを検出するというやり方が最適だと思います。
書き出したMIDIデータだけでは音が鳴らないので、付属のサンプラーやBFDなどのドラム音源で任意の音をアサイン。
MIDIだとサンプルの選択肢が増えるし、データの受渡しも簡単ですよね。
■小技
TRIGGER2は専用のエディターを使えば、同プラグインで読み込めるサンプルデータを自分で作れます。
個人的な構想ですが、ドラムを録り終わった後にスネアだけ、バスドラムだけ…という具合に1パーツずつ何発かドラマーに叩いてもらい、その中で一番良かった音をトリガーのサンプルとして使おうかなと思っています。
DAWでそれをやるならサンプラーで代用できますね。
今度実践でやってみるつもりで、そのサンプルが公開できるといいんですけどね。
そのまま使うと曲調に合わない場合が多いので、違うサンプルを同時発音したり、同じトラックを作ってそれぞれに別な処理をして太くする方法もあるのですが、それは今度記事にすることにします。
■まとめ
システムに関係なく、トリガーはインプットレベルと検出の閾値を適正に設定し、曲に応じてどれぐらいの強弱を付けるのか(または一定にするのか)、原音とサンプルをどれぐらいの割合でミックスするのか、この2点がポイントになると思います。
前編で例に挙げたChris Loard-Alge氏のようなパツパツの音にするなら、100%サンプル音でベロシティーは一定にするといいです。
サンプル音源としてはTRIGGER2以外にも色々選択肢があり、それぞれで得意ジャンルが違うはず。
システム毎にデモ音源が公開されていると思うので、ぜひそれを聴いて自分に合ったシステムを探してみてください。
レコーディングに関してスポットを当てて書きましたが、専用の機材を揃えればトリガーはPAでも可能です。
生音をエディットすることに対して賛否両論あるかと思いますが、個人的にはそういう音作りが必要な場合もあり、音作りの幅が広がる可能性を考えると特に抵抗感はありません。
ただ、前半でも書きましたが、トリガーありきで臨むのはあまり良くないので、使いどころはしっかり見極めましょう。
僕の個人的な手法を書きましたが、もっといい方法があるはずなので勉強してみようと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿