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2016年7月10日日曜日

アコースティック形式のミックス例⑤ リバーブのかけ方

リバーブの使い方を説明します。

関連記事も併せてお読みください。



【関連記事】
・アコースティック形式のミックス例① 録った状態とTDした状態の比較
・アコースティック形式のミックス例② アコースティックギターの音作り
・アコースティック形式のミックス例③ ピアノの音作り
・アコースティック形式のミックス例④ ボーカルの音作り&オートメーション
・アコースティック形式のミックス例⑤ リバーブのかけ方



■作業説明の前にリバーブに関する小ネタ

リバーブタイムの定義をご存じでしょうか。

音を止めた瞬間から-60dbを下回るまでの時間のことです。

本やネットを見ても意外と書かれていないんですよね…。

ちなみに、-60dbは小さすぎてほとんど聞き取れません。

設定値と耳が認識する時間にはかなりの差があり、設定値の半分ぐらいの時間が実際に聞こえる長さだと認識しておくといいです(聞こえ方には個人差がありますが)。

ぜひ自分のリバーブで確かめてみて下さい。



■リバーブをかけるコツ

リバーブは聞いていて気持ちがいいのでレベルを上げてしまいがちですが、かけすぎには注意です。

広がりすぎて音像がボヤけてしまいますよ。

そして、ヘッドホンなのかモニタースピーカーなのかで聞こえ方が違います。

人それぞれにこだわりがあると思いますが、個人的にはリバーブの質感はヘッドホンでミックスする場合が多いです。

なぜかというと、現代のリスナーはほとんどスピーカーではなくイヤホンやヘッドホンを使うからです。

エンドユーザーの環境に合わせてミックスするのが自分のスタンスですね。




さて、本題に入ります。

音作りを終えてPANを振った状態での音を聞いてみましょう。

■音作り後、リバーブをかけていない状態



どのパートも音が近すぎますね。

広げすぎると古くさくなってしまうので、全体的に薄くかけるイメージで音を作っていきます。

まずはアコギから。



■アコギのリバーブ





Apolloに付属しているUAD-2版のRealVerb Proです。



■ここでちょっと脱線

僕はリバーブに関してはプリセットを活用する方なのですが、そこに入っている「Acoustic Guitar」を選び、「Mix」のパラメーターを100%(完全にW側)に変更しました。

DはDry(エフェクトがかかっていない)、WはWet(エフェクトがかかっている)のことで、Wの方に振り切っておかないと、センドで送った信号が100%リバーブに入らないので注意です。

ディレイも同様に、入力信号に対してのインプットレベルのバランスを変更できるパラメーターがあります。

ところで、センドとは何ぞや。

リバーブやディレイをかける時、各トラック毎にプラグインをインサートしていたら多くのリソースを消費してしまうので、通常はプラグイン1つに対して各トラックから必要なレベルを送る方法を使います。

どのDAWにも必ずFX(Aux)チャンネル機能が付いているはずですが、リバーブの場合まずはステレオのFXチャンネルを立ち上げ、そのプラグインスロットにリバーブを立ち上げます。

Cubaseだとミキサー画面に各パートから信号を別に送る「SENDS」というスロットがあるので、それを↑で立ち上げたリバーブのチャンネルへ送信。

実際にどんな感じなのか見てみましょう。





画像の一番左がAG1、2番目の紫色のフェーダーがRealVerb用のFXチャンネル。

AG1チャンネルの真ん中あたりに「SENDS」というスロットがあるので、それをRealVerbに指定し、センドレベルを決めます。

すると、AG1の分岐信号がRealVerbのインプットに送られ、リバーブがかかります。

センドの信号分岐ポイントがフェーダーの前か後かを変更できますが、デフォルト設定ではPost(フェーダーの後)になっているのが通常で、各トラックのフェーダーを動かすとそれに連動してリバーブのセンド量も変化します。

Preに切り替えるとフェーダーを通る前(プラグインスロットの直後)にポイントが設定され、フェーダーのレベルに関係なくリバーブがかかります。

フェーダーを下げきった状態にすれば、原音は鳴っていないのにリバーブだけ鳴らすということも可能です。

Cubaseでの切り替えは、インスペクタの「Sends」をクリックし、Sendレベルのスライダーの中心部よりちょっと上の部分にカーソルを持っていくと切り替えのマークが出現します。





本題に戻ります。

プリセットを選んだら曲のテンポや雰囲気に合わせてパラメーターを変更しましょう。

特にリバーブタイムはテンポと上手く絡むように設定しないと違和感が出てくるので適当に設定してはいけません。

偶然にも、この曲ではプリセットのデフォルトでちょうどいい長さだったので変更していませんが。

薄く広がる感じにしてみました。


■ピアノのリバーブ





普段はあまり使わないSonnox Oxford Reverbですが、せっかくなので久々に使ってみることにしました。

これまたプリセットでホール系を選び、リバーブの質感を確かめます。

いい感じだったので、曲のテンポに合わせてリバーブタイムを変更。

しかし、なんだか物足りない…。

こういう時は別なリバーブも一緒に混ぜてしまいます。

色々試した結果、アコギ用に立ち上げたリバーブを併用するとイメージ通りになりました。

こういうこともあります。



■ボーカルのリバーブ





Cubaseに元々入っているREVerenceというプラグインで、クリック機能が付いているのが特徴。

画面左の再生ボタンのようなマークをクリックすると「パン」という音が鳴り、その音に設定したリバーブがかかるので、ボタンを連打しながらいい具合になるようパラメーターを変更します。

これがとても便利で、他のメーカーのリバーブも全部この機能を付けて欲しいぐらいですね。

ボーカルのリバーブはプレート系を使うのが定番ですが、僕はそれにホール系を混ぜて使うことが多いです。

プレートはその名の通り鉄板(EMT-140という有名なプレートリバーブが元になっている)のキンキンしたハイ上がりな響き、ホールはコンサートホールの木材が反射する中音域が豊かな暖かみのある響きです。

これらが混ざることで、上も下もまんべんなく聞こえるゴージャスな残響が得られます。

各々のプリセットを選び、クリックしながら同じ残響時間、音量レベルになるよう調整しましょう。

プレートとホールの比率は6:4ぐらいで混ぜており、シャリっとした明るめのサウンドに仕上げてみました。

そして、もう一つのポイントがプリディレイ。

リバーブ音が鳴り始める瞬間のタイミングを調整するパラメーターで、よくボーカル用のセッティングで使います。

0msecに設定しているとすぐにリバーブがかかり始めてしまい、原音の印象が薄くなってしまうことがあるので、大体25〜40msecぐらいに設定して原音をある程度聞かせてから広がるようにすることが多いですね。

こういった細かいテクニックを覚えておくと音作りの幅が広がりますよ。

余談ですが、REVerenceは全部これでやっても大丈夫だと思えるほど完成度が高いリバーブです。

こんな秀逸なプラグインが標準搭載されているなんて、Cubaseはすごいですね。



■TD(トラックダウン)

これで今回のミックス作業はほぼ終了。

あとはフェーダーのオートメーションでボリュームの微調整をしたらTDです。

それでは、どんな音になったのか聞いてみましょう。



■TD後の音





今回はこちらのミックスがマスターとして採用されました。

もっと欲しいという話になるかもしれないので、もう少しリバーブを足したミックスも聞いてみて下さい。



■TD後の音(リバーブ追加)





リバーブをかけるのはミックスの中でも難しい作業の1つで、エンジニアの個性が出る部分と言ってもいいでしょう。

こうやって比較してみると曲の印象が変わりますよね。

これだからミックスは面白いのです。



以上、ミックスのプロセスを公開してみました。

マスタリングは趣旨が違うので、そのうち別記事を作ります。



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・アコースティック形式のミックス例④ ボーカルの音作り&オートメーション
・アコースティック形式のミックス例⑤ リバーブのかけ方

アコースティック形式のミックス例④ ボーカルの音作り&オートメーション

歌もののメイントラックであるボーカルにこだわりがある人は多いと思いますが、音作りだけでなくオートメーションの書き方も交えて説明します。

関連記事も併せてお読み下さい。



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・アコースティック形式のミックス例⑤ リバーブのかけ方



まずは元音を聞いてみましょう。

■Recしたままの状態





レコーディングではマイクまでの距離はおよそ20センチで、一般的なマイキングですね。

コンプは浅めの-3db程度のリダクションで、EQは使っていません。

胸声タイプのボーカリストなので、録りの段階でローの成分を大事にしたいと思いました。

近接効果(マイクに近付くほどローが出る現象)が程よく影響しており、心地よい低音が録れています。

EQ的には全体のバランスが非常に良く、あまりいじらなくていいんじゃないのという印象。

やはりU87Aiはすごい。

ダイナミクス的には多少のバラつきがあるので、気になる部分の波形を切り、クリップゲインをオートメーション代わりにしてバランスを整え、その上でコンプをかけた方が良さそうです。



■ディエッサーの設定





EQの前に、歯擦音が少し気になるのでディエッサーを使って抑えてあげます。

歯擦音とは、「さしすせそ」の発音時に空気が歯に当たることで発生する耳に痛い高音成分のことで、コンプを深くかけるほど際だってしまいます。

ブラックミュージックなどでわざと強調する音作りもありますが、個人的な嗜好で歯擦音は苦手なのでカットする場合が多いですね。

Cubase付属のディエッサーで、設定はデフォルトのまま使用。

4.5kHz〜15kHzが3〜4dbほどリダクションされるようにします。

カットし過ぎると不自然なので、少しピリっとした成分が残るように設定。

そのままEQの設定にいきます。



■EQの設定





アンサンブルになると少し埋もれてしまうのでハイを突いてあげます。

このEQはApolloで使えるUAD-2プラグインのオプションで、NEVE 1073を買うと使えるようになりますよ。

数あるEQの中からなぜこれを選んだかというと、ブースト時の音質変化が非常にクリアで滑らかだからです。

NEVEは全く歪まないので、今回のようにクリアなミックスをしたい時には重宝していますね。

逆にロックなどの勢い重視な音楽の場合はSSL EQのようにピリっと歪むタイプを使い、しっかりと目立たせるという使い分けをしています。

横道にそれましたが、左から3番目のツマミで周波数を7.2kHzに、4dbほどブースとしたらより明瞭になりました。

では、ディエッサー → EQを通した音を聞いてみましょう。



■ディエッサー&EQ処理後の音





すっきりと聞きやすい音になったと思います。



■コンプの設定





コンプといえばこれ、1176の実機を同社がプラグイン化したものです。

定番中の定番ですね。

ブラックの他にもシルバーがありますが、大きな違いとしては前者がトランス回路あり、後者はなしという具合です。

ブラックはトランスを通ることでハイがいい具合に落ち着き、その結果音が太く聞こえる音質変化が特徴的。

スレッショルドは固定されているので、まずはインプットを右に回してレベルを上げてリダクションのかかり具合を調整し、アウトプットでバイパス時と同じ聴感レベルに出力を揃えます。

アタックとリリースもちょっと変わっていて、左に回すほど数値が大きくなる設計です。

使ったことのない人には不思議な回路設計かもしれませんが、これが定番なので個人的には今さら使いにくいとは思いません。

平均で-5〜-7db、ピークで-10dbほどのリダクションがかかるように設定しました。



■クリップゲインによるオートメーション

前項で平均-5〜-7dbのリダクションと書きましたが、常にこれぐらいかかるようにクリップゲインでコンプへのインプットレベルを調整しています。

フェーダーで書くオートメーションとどう違うかというと、信号の流れがクリップゲイン→プラグインスロット→フェーダーの順なので、クリップゲインで調整しないとコンプのインプットに影響しません。

僕の場合はサビ基準でAメロ・Bメロなど小さい部分を同じぐらいの波形の大きさに調整し、大きすぎる部分を下げるというやり方が一番しっくりきます。

例えば、こんな具合に波形を確認しながら少し小さい部分を切って前後と同じぐらいに揃えてあげます。





見た目だけでなく、実際に耳で聞いて判断する必要があるので注意です。

常に-5〜-7dbのリダクションをかけている理由としては、コンプがかかることで起きる音質変化のバラつきをなるべく減らせるからなんですね。

そして、こうすることでフェーダーによる更に細かいボリュームのオートメーションはあまり必要でなくなります。

ちょっと面倒だとは思いますが、いいミックスに仕上げるためには必要な作業なので、何度も練習して作業速度のアップを目指して下さい。



それでは、クリップゲインとコンプで処理した音を聞いてみましょう。

■クリップゲイン&コンプ処理後の音






こういうった感じになります。

曲によってはコンプかけてますアピールをするような音作りもしますが、今回は静かな曲なので自然に聞こえる感じにしています。



以上、ボーカルの音作り&オートメーションでした。



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アコースティック形式のミックス例③ ピアノの音作り

ピアノの音作りです。

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今回は生ピアノではなくMIDI録音で、ソフト音源はSynthogy Ivory II Grand Pianosを使用。

この曲はピアニストのタッチが繊細ですが、そういったニュアンスまでしっかり再現してくれる優秀なソフトなので重宝しています。



■音作りの前に小ネタ

MIDIでソフト音源を鳴らす場合、音源のアウトプットにプラグインをかけるのではなく、一度オーディオ化して処理するようにしています。

オーディオ化した状態でないとできない編集が可能になること、ソフト音源を立ち上げなくていい分のリソースが浮くことが主な理由です。



■書き出す際は必ずオフラインバウンスで

オフラインバウンスはCPUのリソースに依存する書き出し方法で、通常は数倍速でレンダリングされます。

しかし、Ivoryのような動作が重い音源をバウンスする時は、たまにアラートで表示される倍速が1.0以下になる場合があります。

これはリアルタイムバウンス(つまり等倍速)では処理できないことを行っているということで、実際に音を聞いてみるとブツブツと途切れている箇所が出てきます。

オフラインバウンスはプロジェクト上の情報を正確にレンダリングする機能でもあるので、必ずオンにしてください。

TDもマスタリングも同様です。

Cubaseの場合は書き出し設定の画面で「実時間で書き出す」のチェックを外せばオフラインバウンス処理になります。



バージョンによっては「インプレイスレンダリング」という書き出し機能があるので、そちらを使うのもいいでしょう。

音質への影響を懸念する意見もありますが、プラグイン形式が64bitの場合はほぼ変化しないと思っていいはずです。

Pro Toolsも11でプラグイン形式がAAXになった(つまり64bit化された)ことで、オフラインバウンスによる音質劣化はないので機能搭載したと開発者インタビューに書いてありました。

このあたりは自分で詳しく検証したことがないので、また機会を改めて記事にしてみますね。



では、本題の音作りへ。

まずは元音を聞いてみましょう。



■オーディオ化したままの状態





音の印象としては、ローがやや強くハイのヌケが良くない、ローミッドがモコッとしているといった感じですね。

フレージングやタッチによる影響が考えられます。

ダイナミクスに関してはいい具合にニュアンスが落ち着いているので、ほんの少しコンプをかけて整える程度に止めておいた方が良さそうです。



■EQの設定





ローとローミッドを若干カットし、2kHz以上は派手に上げています。

音のヌケが良くなり、フレーズの一つ一つが際立って聞こえてきました。

こんな感じです。



■EQ処理後の音





■コンプの設定




WAVESのRVoxというコンプなのですが、スレッショルドとアウトプットのゲインだけという非常にシンプルなインターフェイスになっています。

同社の有名なマキシマイザーでLシリーズがありますが、アルゴリズム的にはL2のソフトニーバージョンみたいですね。

R-Comp同様変なクセがないので、ピアノのようにコンプをかけるのが難しいソースにはこれを使うことがあります。

今回のピアノにはリダクションが-1〜-2db程度かかるように設定し、やや強めのアタックを揃える感じにしてみました。

聞いてみましょう。



■コンプ処理後の音




以上、ピアノの音作りでした。



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アコースティック形式のミックス例② アコースティックギターの音作り

アコギのミックスを解説していきます。

他の記事も併せて読んでみて下さい。



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解説の前に、まずEQとコンプはどちらが先なのかという問題が。

人によって考え方は様々ですが、僕は基本的にEQ→コンプの順番にかけます。

今回のアコギは特に良い例なのですが、元素材のままだと低音が強く出過ぎており、すぐコンプのスレッショルドに引っ掛かってしまうので、なるべくEQで均一化した後の自然なバランスの状態にしてからかけるようにしています。

それを頭の片隅に置きつつ先を読んでみて下さい。



まずは元素材の音を聞いてみましょう。

■AG1(左側)をRecしたままの状態




EQ的な観点では、ローが出過ぎてボワーっとしておりハイのきらびやかさが少し足りない感じがします。

レベル的観点では、ダイナミックレンジ(一番小さい音と一番大きい音のレベル差)が大きく、盛り上がりの部分はちょっとレベルが大き過ぎますね。

そこで、まずEQを使って各帯域のバランスを整えてみます。



■EQの設定





設定はこんな感じで、ローとハイのヌケが良くなり、バランスが整いました。

アウトプットが1.5db上がっていますが、ローを下げた分全体のレベルが下がってしまったのでそれを補ってあげます。

なぜこうしているかというと、エフェクトがバイパスになっている状態と比較するためです。

人間の耳の性質上、聴感上の音量レベルが違うと比較しにくいので、どんなエフェクトでもオンとオフの時で聴感レベルが揃うように調整するのが基本です。

このテクニックはけっこう重要なので、知らなかった人は今日から実践してみてください。

実際にはこういう音になります。



■EQ処理後の音





きらびやかさを出すには一番右(6)のポイントが重要で、高次倍音の帯域をブーストします。

だいたい13kHz以上なのですが、ソロで聞くとそんなに変化がわかりません。

しかし、アンサンブルで他の音と混ざると違いがよくわかります(これまた人間の耳の性質によるもの)。

アコギのヌケが悪い場合は8kHz〜10kHzあたりをブーストすることが多いかと思いますが、この帯域はやりすぎると耳に痛い音になってしまいます。

音ヌケが悪い場合はまず13kHz以上をブーストし、それでも足りないようであればわかりやすい帯域をブーストするといいでしょう。

他のソースも同様です。



続いてはレベルを揃えるコンプレッサーの設定です。

■コンプの設定





ポイントとしては、アタックとリリースは遅め、レシオはかなり低めにすることです。

アタック&リリースタイムに関しては、弦を弾いて余韻の始まる部分からかかるようにし、ポンピングを回避するのが狙い。

レシオ値が高いとリダクションが始まった瞬間に「ガクッ」と不自然に聞こえる場合があります。

今回のアルペジオがそうでした。

リダクションは-1〜-2db平均で、レベルが大きい部分は-6dbぐらいまでリダクションされるように設定。

このあたりの質感は楽曲イメージによってかなり違ってくるので、毎回同じように処理するわけではありません。

その都度、気持ちのいいセッティングを探しましょう。

実際にコンプをかけたらこんな音になります。

■コンプ処理後の音





AG1と同様にAG2も処理していきます。

■AG2(右側)をRecしたままの状態





こちらはガットギターです。

ナイロン弦なので音がまろやかですね。

録ったままだとAG1とほぼ同じ印象だったので、同様に処理しました。

プラグインの設定と音を聞いてみてください。



■EQの設定





AG1と比べてやや派手な設定になっています。

音はこんな感じになりました。



■EQ処理後の音




■コンプの設定





■コンプ処理後の音





5、6弦を強く弾いた時にリダクションがかかり、ある程度ニュアンスを保ったままレベルが均一化されていると思います。



以上、アコギの音作りでした。



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2016年7月8日金曜日

最新のモデリング技術はすごい『Apollo Twin Duo』

先日、UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin Duoを購入しました。







詳細なスペック等は公式サイトにてご確認ください。

UA社といえば、高級なレコーディング用の機材を作っているメーカーとして有名ですね。

オーディオI/Oやコンプレッサー、プリアンプなど、数多くの良質な製品を出しております。

そのUA社がここ数年、名機と呼ばれる有名なハードをプラグイン化する事業に力を注いでいるようです。

公式サイトにも載っておりますが、コンプレッサーの名機である1176であったり、プリアンプの610-Bなどの自社製品はもちろんのこと、NEVEやManleyなどの他社製品でもライセンスを取得して開発しています。

個人的にNEVEが好きなので1073を買ってみました。







残念ながら実機がかなりお高いため比較がなかなかできませんが、とある動画で比較しているのを聴いたところ、むしろプラグイン版の方が音のヌケが良い印象でした。

もちろん、NEVE特有のハイがまろやかでクリアな太い質感はそのままです。

都内の某スタジオでApollo Twin Duoの上位機種であるApollo 8P(プリアンプが8つ同時使用が可能)を無料で貸し出していたので、1073のプリアンプでドラムとベースを録ってみました。

その時のサンプルがあるので聴いてみてください。




こんな感じの音になります。

また別の機会に、Apolloの使い方やこの曲のミックスに関する解説を書いてみようと思います。

2015年4月15日水曜日

DAWソフトによる音の違い

【DAWソフトで音は違うのか?】

コンピュータで音楽制作をやる場合「DAWソフト」を使う必要があります

DAWとは「Digital Audio Workstation」の略称で、一般的にDAWソフトとはオーディオやMIDIなどを録音・操作するアプリケーションのことを指します

メジャーどころはPro Tools、Cubase、Logicあたりでしょうか

よくソフトによって音が違うと言われますが、それを疑う人もいると思います

そこでちょっとした実験をしてみました


【実験】

Pro Tools 10でミックスダウンした同一のデータ(WAV、24bit/48KHz)を、Pro Toos 10とLogic Pro Xで同じ設定にしてオーディオCD向けのマスタリングを施すとどうなるか

作業方法は以下の通りです


① セッションスタートの位置にデータをインポート、フェーダーは0db固定
② プラグインはWAVESのREQ6、C4、L2の順でインサートし、どちらも設定は全く同じにする(Pro Tools側で設定した数値をLogicに反映させています)
③ バウンス時の条件は、WAVで16bit/44.1KHzにエンコード、オフラインバウンス未使用(リアルタイムで書き出し)、バッファサイズは1024、自動遅延補正は最大値
④ 書き出した両ファイルをPro Tools 10のセッションスタート位置に取り込み、フェーダーは0db固定にして聴感上で違いを確認
⑤ 両方に付属プラグインのTrimをインサートし(両方に立ち上げるのはなるべく同じ条件にするため)、同時に再生した状態でどちらか一方の位相を反転させる
⑥ ⑤の状態でアナライザーを使い周波数解析











RTASとAUで形式の違うプラグインを使っているから単純にDAWの再生音のみの音質比較にはなっていませんが、プラグインを使わない人はそういないと思うので実践形式でやりました

テスト音源はドラム、ベース、ギター、ボーカルのオーソドックスなロックバンドの音源です

さて、結果はどうなったと思いますか?


★聴感上
・Pro Toolsの方が高域成分が強く聴こえた(これは僕の主観)
・逆相にしたら高域成分(スネアのスナッピー、キックのアタック音、シンバル、ギターのシャリシャリ感など)が少し残っており、他の帯域は全く聴こえない
・ここは手順にないけど、試しにPro Tools側にEQを立ち上げ、残っている成分の帯域を0.1~0.2dbカットしたらほぼ音が消えた


★アナライザーの解析結果
・4KHzあたりに-78db前後の成分があり、4KHz以下は全く反応なし
・7KHzより上は-73db付近まで成分が残り、20KHz手前で-60db超えのピーク成分が





【実験結果からわかること】

この実験の結果、LogicよりPro Toolsの方が高域が強いということが判明しました

僕の聴感上の結果はともかく、逆相にした状態でアナライザーのメーターが振れたということは完全に打ち消し合っていないことになります

これはLogicがハイ落ちしているのか、それともPro Toolsにハイが足されているのか…残念ながらこの実験では証明できません

プログラムのことがわかるレベルの人じゃないと証明するのは難しいかもしれないです

そして、結果が違うことは証明されたけど優劣をつける話ではないですね

あえてつけるとしたら個人の主観(好み)になってしまいます

これを読んだ方はどう思うでしょうか



【原因は何なのだろう】

音が違うということは必ず何かしらの原因があります

よく耳にする主な原因(推測)はこの3つじゃないでしょうか


・レンダリングエンジンやエンコーダの性能差
・プラグインスロットやミキサーなど内部演算の精度
・プラグイン形式の違い






僕も概ね同意見ですね

先ほどは触れませんでしたが、音質だけでなくバウンス後のファイルの長さも違って、なぜかPro Toolsの方が3サンプル長いという結果になりました





コンピュータの演算はけっこういい加減だということがわかる

Pro Tools 10は32bitアプリ、Logic Pro Xは64bitアプリなので、こういう要素も絡んでいるでしょう

同じソフトでもバージョンによって音が違うというのは、内部演算の精度が変わっているからだと思います



【原因をより掘り下げてみる】

そして非常に細かいですが、ここまで来たらバウンス時のコンピュータにかかっている負荷も関係あるのではないかという気もしていて

バッファサイズやCPU・メモリの使用率などが絡んでくるのかもしれません









仮にこれらが本当であれば、同一ソフト内・同一セッティングでリソースの消費状況による音の違いが再生毎に生じることも考え得るわけです

これらを検証している人っているんですかね?

やっている人がいたらぜひ結果を見てみたいものです

それに意味があるかどうかは置いといて、一つの事実を証明することは大事だと考えます

どうしても気になる人もいるでしょうから

ものすごく時間がかかるだろうけど、1パターンで10回ずつ書き出して逆相実験というのもやってみないといけないですね



【最後に言っておきたいこと】

こう言ったら本末転倒になってしまうけど、この微々たる差が気になる人は気にすればいいし、気にならない人は気にしなければいいです

メディアがテープからCDに変わったぐらいの大きな変化ではないので、違いがわからない人も多いと思う

僕が今回検証した理由は、現在互換性の問題を解決するために複数のソフトを使い分けており、一緒に制作するミュージシャンから「どう違うの?」と聞かれた時、主観・論理の両面から明確に答えられるようにしたかったからです

実はそんなに気にしていませんw

音質に懐疑的な意見が出ているPro Toolsを使っているのも、業界標準で互換性も高いし、何より使い慣れてしまっているからです

ツール選びで一番大事なことは、いかに自分の目的に合っているかではないでしょうか

音質にこだわりたいなら音質重視のソフトを選べばいいし、それよりも編集機能やMIDIの使いやすさが大事だという人はそういう作業に向いているソフトを選べばいいと思う

こればかりは使ってみないとわかりませんね

勘違いしたらいけないのですが、いいミックスに必要なのはツールでなく感性と技術です

参照記事
「レコーディングって何するの?」

ハードでもソフトでも楽器でも何でもそうですが、基本的なことができないとツールのポテンシャルは存分に発揮できません

音質改善には基本的な技術や感性を身に付けることが最も重要であることを忘れてはいけないのです



今回は音源サンプルを付けていませんが、Cubase Pro 8を導入したらサンプル付きで主要3ソフトの違いを公開しないといかんな

以上、DAWソフトには微妙な音の違いがあるというお話でした

2015年3月24日火曜日

主な機材やソフト

2015年3月現在、メインとして使っている機材やソフトを書いてみる



【PC】
 ・Mac Pro 2.4GHz Quad Core Intel Xeon Westmere ×2、RAM 6GB
 ・Mac mini 2.4GHz Core 2 Duo、RAM 8GB

【DAW】
 ・Pro Tools 10、11

【オーディオI/O】
 ・Mackie Onyx 1620i
 ・Digidesign Digi003 Rack

【オーディオプラグイン】
 ・WAVES

【ソフトシンセ】
 ・Ivory II Grand Pianos
 ・BFD Eco



主にミックスやマスタリングではMac Pro、サブでレコーディング用にMac miniを使っています

メインソフトはPro Tools 10ですが、サブスクリプション制になることを機にCubase Pro 8に乗り換えます

Cubaseに関してはまた別記事として書きますが、総合的に見るとこちらの方が自分にとって都合がいいんですよね

こんな感じで日々音楽をやっています

ひたすらテキストだけ打っていても仕方ないので、自分のミックスサンプルなどもアップしないといけませんね…